5月の授業は、祗園内藤工務店の作業場で行われました。左京区のなかでも比叡山の麓に位置するこの場所は、最初の授業ではまだ肌寒く、上着を持参しなかった塾生たちは、少し寒そうにしていました。しかし、その寒さも町家大工への熱意の前には些細なことだったようです。
午前中は京町家についての講義がおこなわれました。社寺建築に詳しい受講生もいるものの、町家建築とは異なる点も多いため、その違いを確認しながら、基礎知識を深めました。すでに建築に関わっている受講生が多いため、講義は予定よりも早めに終了し、お昼休憩前からいよいよ実技へと移行しました。
サポートしてくださっている大工の斉藤さんも、今期の受講生の飲み込みの早さに感銘を受けているようでした。最初は緊張した面持ちだった受講生たちも、どの材木を選ぶかジャンケンで決め始める頃には、年相応の笑顔がこぼれていました。
しかし、ひとたび道具を手にすると、その表情は一変。皆、真剣な眼差しで木と向き合い始めました。それぞれの道具を使いこなし、木と対話する彼らの姿を見ていると、日本の伝統建築の未来に明るい光が見えた気がしました。
5月11日には、墨付け(墨付)、仕口・継手(蟻鎌・腰掛)の実技を、そして5月25日には、ササラ、側柱の実技を行いました。一つ一つの工程を丁寧に学び、着実に技術を習得していく受講生たちの姿は、まさに未来の匠の卵たちです。
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